「答えようがない質問」をしてはいけない

難しい質問に対して、いかに答えるかを解く本は数多くありますが、そもそもその質問は「本当に答えられる質問なのか」を考えてみたことはあるでしょうか?

コピーライター・糸井重里氏の著書「小さいことばを歌う場所」に、こんな言葉があります。

人に怒るときに、「悪いと思っているのか?」という言い方があります。この場合、「悪いと思っていません」と答えると、もっと怒られるのです。しかし、「悪いと思っています」と答えても「だったらどうしてやるのだ!」と怒られます。どっちの答えも更に怒られるのです。つまり怒っている側からのこういう質問には、答えようがないのです。だから怒る側の人が、こういう質問をしてはいけないのです。

良い質問とは、「質問の意図が明確である」こと

難しい質問をして相手を困らせるのもスキルの内だと勘違いしている人もいますが、それは糸井氏の言う「答えようがない質問」なのです。

そんな質問をしないために心がけるべきは、「質問の意図を明確にする」こと。自分がしようとしている質問がどんな意味を持っているのか、それをハッキリさせるだけで相手の答えも変わるはず。

たとえば、仕事上で何らかミスをした部下に質問する場合。もちろん「悪いと思っているのか」などと聞いてはいけません。大事なのは、「なぜミスをしてしまったのか」「どうすれば次はミスをしないで済むのか」について、部下の考えた言い分を拾い上げること。

場合によっては、部下が伝えたいことを言語化できていない可能性もあります。そんなときは、「それはつまり◯◯ということか?」などと、言わんとする言葉を質問しながら聞き返すとよいでしょう。

意図が明確なら、難しい質問である必要はない

そうやって質問しながら、望ましい方向に議論を軌道修正していく。つまり、質問の意図は「言語化できない悩みを引き出し、仕事を理想の方向に導く」ことです。こういった意図がハッキリした質問こそ、正しい質問と言えるのではないでしょうか。

意図が明確であれば、質問がハイレベルなものである必要もありません。たとえば楽しくコミュニケーションすること自体が目的なら、質問が「明日の天気はどうだろう」「今日のランチは何を食べた?」といった何気ない内容でもかまいません。

質問は、答えるよりも難しい。この事実は案外知られていません。

うまく質問ができれば、答える側もスムーズに回答できるもの。質問力を上げることで相手とのコミュニケーションを円滑になり、自分のアイデアを通すことも可能になります。質問力を上げるために、できるだけ具体的に問うことから始めてみませんか?

渕上聖也

1982年生まれ、京都出身。
大学卒業後、出版社での営業職やカフェ店長などを経験、2010年ごろから執筆活動をスタート。

2013年にはライターとして独立し、IT企業を中心にさまざまなメディアと関わり合いながら、研鑽を積んできました。201610月より㈱リブセンスにジョインし、現職。