本田圭佑に学ぶ。成長の鈍化した企業に必要なのは「バカ者とよそ者」

名門サッカークラブとして“世界最強”とも言われたイタリアの『ACミラン』。ここ数年は低迷が続いており、その理由について「かつての勝ち方にこだわっている」と分析するのは本田 圭佑選手。そしてその状況は「バカ者とよそ者にしか世界は変えられない」と語る本田選手の言動からは企業においても必要な視点が見えてきました。

本田圭佑から学ぶ「脱低迷」の視点

かつてACミランの黄金期を支え、同じ背番号10番を背負っていた“怪物”ロナウド選手のようなドリブルを求める周囲の期待に対し、応えようとしない本田選手を多くのサポーターやメディアがバッシング。

それでもなお、姿勢を変えない本田選手の真意が以下の発言から読み取れます。

勝ちたいんであれば違うことをやらないといけない。ロナウドのドリブルを目指してはダメなんです。でもそれを捨てずにずっと来ている。だから捨てろといったんです。

本田選手は、過去の栄光にすがり過ぎた全て(クラブ、メディア、サポーター)に対して疑問を感じ、これまでとは違う勝ち方が必要だと考えるがゆえのプレイなのでしょう。

ミランの身内にいる人たちはそのご法度を知っていてもね、だれも触れられないんです。「お前らのしがらみは知らんわ!」ってしゃべれるヤツは、僕しかいない。

こう考えて新しい勝ち方が必要だと提言する本田選手。勝つためには、既成概念を超えた視点を持つべきなのです。

バカな質問ほど尊いもの

自分を「バカ者とよそ者」と例え、所属するACミランに疑問を呈す本田選手と同じく「バカ者とよそ者」視点は既成概念にとらわれないために必要だと語るのは、WIRED誌創刊編集長のケヴィン・ケリー氏。

良い質問の多くは、最初はバカみたいに聞こえるものです。まるで素人か初心者が聞くような、ね。そこで、良い質問をするための一つの手として、まず、知っていることを忘れてみることがあるでしょう。質問をすることは一種のクリエイティブな行為であり、私の経験では、良い質問ができる人は、既成概念に疑問を投げかける、違う角度から考えることができる人で、実際にそのようにしようと努めている人です。これはスキルだから、訓練によって向上させることができるでしょう。

引用:ケヴィン・ケリーの提言――テクノロジーの受容、固定観念の問い直し、新たな生態系の構築(Biz/Zine)

この言葉からも、バカのように感じる質問は、実は既成概念にとらわれない無垢な発想であり、そこから新たな視点に気づくキッカケになるのかもしれないということ。そして、これはビジネスにおいても同じことが言えるのではないでしょうか。

「ずっとこの流れでプロジェクトを進めていた」

「昔からのお得意様だから無理しても取引を続けなくては」

このような既成概念やしがらみによって、過去の栄光あるいは陳腐化した手段に固執することが企業の成長を妨げる一つの原因になるのです。

既成概念を覆したタクシー配車サービス「Uber」

まさに「バカ者とよそ者」の視点によって市場を圧巻する企業が「Uber(ウーバー)」です。企業が成長を続けるためにも役に立ちます。逆にもしその視点がなければ、「バカ者とよそ者」のスタートアップがやってきて一気に市場をとられてしまうかもしれません。たとえばUberのサービスは、タクシー業界であたりまえと思われてきたことをITの新たな力でくつがえすものでした。

Uberはタクシーのように車で目的地に連れて行ってもらえるサービスです。運転するのはUberの契約ドライバー。Uberの審査を通れば誰でもドライバーになって配車ビジネスを始められます。こうしたドライバーと利用者をアプリでマッチングする仕組みをUberが提供したため、利用者は乗る車をタクシー会社ではなくて人で選べるようになりました。そして既存のタクシーよりも安くて便利なため、Uberはどんどん普及。タクシー業界を破壊していると言われています。
この破壊力は強く、「Uber症候群(Uberization)」という言葉も生まれるほどでした。従来は想像もしなかった競合が新しいビジネスモデルで市場に参入し、既存企業を破壊することを示す言葉です。

 

本田選手は、ACミランでの一件ととき同じくして、オーストリアの3部リーグ『SVホルン』を買収したことでも話題になりました。

まさに「バカ者よそ者」視点で既成概念にとらわれず新たな視点で市場を切り開いたUberしかり、本田選手が過去ではなく今の勝ち方を見据える背景には、自身もサッカークラブを経営する“ビジネスマン・本田圭佑”だからなのでしょう。
もしかすると勝てなくなってきた(成長が低迷、鈍化した)あなたの会社を打開するのはバカ者とよそ者なのかもしれません。

 

板村成道

1983年生まれ、山口県出身。
東京での不動産企業やIT企業勤務を経て2011年に移住。大分と熊本で暮らし、2014年から福岡在住。『福岡移住計画』ディレクター。ソーシャルウェブマガジン『greenz.jp』ライター。