計画倒れしてしまう組織の多くは前提から間違っている

「これを実現するためにリソースを集中させよう!」そう決めたはずなのに、気がついたら本来の目的とズレていたという経験はありませんか? そういった原因の多くが戦略と戦術の決め方や組織への伝え方に課題があると言えるでしょう。

経営危機だったテーマパークが組織全体で一丸となって、V字回復させることに成功した『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』を参考に組織における目的設定について考えたいと思います。

目的のために戦略と戦術があるということ

著者である森岡毅氏によると、戦略や戦術をうまく機能させるためには、そもそもの目的をしっかりと決めて伝えることなのだそうです。

重要なことは、「目的→戦略→戦術」の順番で考えることです。そのほうが効率が良いからです。最初に目的を明確にすることが何よりも重要。戦略は目的達成のために存在するので、目的が変われば全ての戦略は(戦術も当然)やりなおしになります。

そして戦術よりも先に戦略を明確にすることです。戦略は資源集中の大方針を決定します。該当する戦略の範囲外にある無数の戦術オプションを、全て考えなくて良い領域にしてくれるのです。

引用:『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』

つまり、目的が正しく浸透していないと、いつの間にか手段が目的化してしまったり、目的とズレたことに手を伸ばしたりといった非効率なことにも繋がりやすいということです。

そうならないためには「目的→戦略→戦術」という順で落とし込みながら設定していくことが大切なのです。

それでは目的・戦略・戦術それぞれを決める際に、どんなことを意識したらいいのでしょうか?

適切な目的とは、いつでも振り返れて、心を動かすもの

目的とは、達成すべき使命のことです。目標と混同されがちですが、目標とは目的達成のために経営資源を集中投下するターゲットのこと。最上位の概念である目的が最も大切なのです。

そして、適切な目的を設定をするために森岡氏は3つのポイントを重視しているそうです。

【1】実現可能性

【2】シンプルさ

【3】魅力的かどうか

中でも社内浸透のためには【2】【3】が欠かせません。シンプルで明確な目的は、理解しやすく、定着しやすくなります。逆に目的が複雑だと、優先順位がつけ難かったり、認識がズレやすくなったりするため、共通した目的を社員みんなに定着させるためには、シンプルさが重要なのです。

それから目的には魅力があることも重要です。頭だけでなく心から達成したいと思えることでと、長く苦しい戦いになったとしてもモチベーションを保てるからです。

その証拠に経営危機だったUSJでは、魅力的な目的設定として「この苦しさは、何としてもハリー・ポッターを建てるためである!」という目的を部下に宣言し、見事V字回復を果たしました。

まずは戦略、次に戦術。目的は常に忘れずに。

そして目的を踏まえたうえで実行に移す戦略と戦術の違いについて、森岡氏はこう説明しています。

“戦略とは、目的を達成するために資源(リソース)を配分する「選択」のこと

“戦術は、戦略で決められた領域で経営資源を消費する実行プランのこと”

戦術は戦略が決まった後に考える具体的な実行プランなんですね。しかし「多くの人は、より具体的で考えることが容易な戦術的な方法論ばかりに頭を使っていることが多い。」と森岡氏はいいます。

先ほどの目的と目標の違いと同様に最も重要なところを考えられていないと取り返しのつかない重大なミスにつながる可能性があると述べています。つまり、どんなに優れた戦術であったとしても、まずは戦略を慎重に決めなければ意味がないということです。

そして、戦略をトップダウンで展開していく際、部の組織には戦術を目的として設定するのが一般的です。たとえば以下のように、上から下に向かって実行プランの具体的な落とし込みが行われていくでしょう。

【全社レベル:目的→戦略→戦術】→【部レベル:目的→戦略→戦術】→【個人レベル:目的→戦略→戦術】

この時に、下層の人たちにとって戦術がただ目的化してしまうと、いつの間にか手段が目的にすり替わって伝わっていく、ということにもなりかねません。そうならないためには「共通の目的を確認すること」が重要なのだといいます。

こうして見てきたように、組織における目的を達成するためには、目的・戦略・戦術の違いを明確に意識した上で、「目的→戦略→戦術」と落とし込んでいくことが重要なのです。

 

板村成道

1983年生まれ、山口県出身。
東京での不動産企業やIT企業勤務を経て2011年に移住。大分と熊本で暮らし、2014年から福岡在住。『福岡移住計画』ディレクター。
ソーシャルウェブマガジン『greenz.jp』ライター。