リモートワーク否定派が勘違いしている5つのこと

2013年4月に米Yahoo!のCEO マリッサ・メイヤーが在宅勤務を廃止した一方で、国内ではリクルートが2016年からリモートワークを全社的に導入。社員のリモートワークを認めるべきかの議論は、止むどころかますます活発になっています。

もちろんメリット・デメリットはあるものの、否定論者の中にはそもそもリモートワークについていくつか誤解をしている人もいるように見受けられます。そこで今回は、リモートワークによる働き方革命を提唱する37シグナルズのCEO ジェイソン・フリードの著書『強いチームはオフィスを捨てる』を参考に、リモートワークを否定する人たちが誤解している5つのことについて、事実を明らかにしたいと思います。

誤解1:人件費の削減目的なんでしょ?

そもそも、「人件費の削減のためにリモートワークを認める」という発想が間違っています。

なぜなら、オフィスにいようがいまいが、優れた結果を残せる社員であれば高い賃金を支払うべきなのは当然のこと。

例えば、生活コストが安いエリアに住んでいるからといってその水準の賃金でいいだろうと浅はかな判断をしてしまったらどうなるでしょうか。当然のごとく優秀なリモートワーカーは、より高く自分を評価してくれる企業に移ろうとするはずです。

それゆえ、リモートワークは決して人件費の削減にはなりません。リモートワークは、よりよい環境を与え、優れたアウトプットを出すための取り組みの一つであることを理解しましょう。

誤解2:誰も監視していなければ、社員は仕事をサボる

リモートワークを否定する人の中には見張っていないと、仕事をサボってゲームをしたりネットサーフィンしたりするに決まっている!と憤る人もいると思います。しかし、事実はもっと深刻です。本書によると、大手百貨店のJCペニーが、4,800人の従業員が務める本社のネット接続状況を調べたところ、約3割がYouTubeの視聴に使われていたそうです。

いくら監視をしていても人間、サボろうと思えばどんな環境でもサボれるということであり、オフィスにいようがいまいがサボる人はサボるものなのです。

つまり、リモートワーク=サボるではなく、リモートワークを任せられる人間なのかということが重要なのです。

誤解3:緊急事態が起こったとき、リモートワークでは対応できない

普段の仕事でも1分1秒を争うような緊急事態や、会議室に関係者を招集しなければならないようなことは、めったに起こらないはず。もし毎日のように緊急事態が起こっているのなら、それは組織の在り方がすでに間違っています。

本書によると、大体80%はそれほど急ぎではない問題で、これは担当したワーカーにメールを送っておけばよく、残りの15%はチャットやインスタントメッセージで十分だということです。つまり、本当に重要で、緊急的な対応が必要なことは5%程度ということであり、電話を使ってコミュニケーションすれば、大体のことは対応できるのです。

つまり、このような緊急事態が起こった時に最も重要なことは、リモートワーカーの有無に限らず、チームや組織全員で対応にあたる体制づくりなのではないでしょうか。

直接声をかけて呼び出せる環境にいると、「いますぐ返事がほしい病」に脳が侵されてしまいますが、本当に緊急対応が必要な事案は案外少ないものです。

誤解4:最高のアウトプットを生み出す環境は、オフィスにある

「仕事に集中したいとき、あなたはどこに行きますか?」この質問に対する答えの多くが自分の部屋だったり、近所のカフェだったり、いろんな答えがあるものの、ひとつだけ絶対に行きたくないところがあるはずです。それはオフィス。厳密に言うなら、昼間のオフィスです(皮肉なことに、早朝誰も出勤していないオフィスでは、いつもより仕事がはかどると思いませんか?)

なぜなら、オフィスは邪魔してくるもので溢れています。例えば、仕事に集中しているとき、突然同僚や上司に声をかけられ憤慨したことがあるでしょう。とりあえず呼ばれただけの会議に出席しなければならないこともあるでしょう。まるで、あなたを仕事に集中させないために、周囲が全力で邪魔してくるように思えてくるはずです。

それでもあなたは、最高のアウトプットを生み出す環境が、オフィスにあると声高らかにいえるでしょうか?

誤解5:重要な仕事を、リモートワーカーなんかに任せるなんて間違ってる!

おそらく、あなたの会社はすでにリモートワークを取り入れているはずです。例えば労務や法務などの他事業部はもちろん、隣の席に座っている同僚にメールしたり、内線で電話をかけたりしています。かたちとしては、これだって立派なリモートワーク。どれも事業を運営していく上で大切なものですし、疎かにはできません。

つまり、会社のなかを見渡せば、すでに自分たちが思っている以上にリモートワークをしているようなものなのです。

渕上聖也

1982年生まれ、京都出身。
大学卒業後、出版社での営業職やカフェ店長などを経験、2010年ごろから執筆活動をスタート。

2013年にはライターとして独立し、IT企業を中心にさまざまなメディアと関わり合いながら、研鑽を積んできました。201610月より㈱リブセンスにジョインし、現職。